
ソウル19日=和田等】潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長は19日、現在の世界情勢に懸念を表明し、緊張緩和のための多国間努力を強化する上で、国際機関が果たすべき重要な役割を強調した。
「現在の世界情勢は非常に複雑で危険だ」と、自身の半生を描いた米国のドキュメンタリー映画『静かなる外交官』の記者上映後にソウルで行われた記者会見で述べた。
「ロシアがウクライナに侵攻し、多くの民間人が犠牲になった。「同じことがガザにも当てはまり、イスラエルが最近イランを攻撃したことで、中東がより広い戦場になる可能性への懸念が高まっている」と付け加えた。
2025年6月19日、ソウルでの記者会見で『静かなる外交官』について語る潘基文前国連事務総長。
潘基文前国連事務総長は、「トランプ主義」によって伝統的な世界秩序が再編成されつつあり、民主主義国家間の協力と理解が弱まっていると指摘。
"そうは言っても、国連が追求する世界平和、経済発展、人権という3つの重要な柱を再確認し、実現するために、我々は互いに緊密に協力しなければならない"
「国連中心の多国間主義を回復することが私の心からの願いです。
チャールズ・ライオンズ監督の『静かなる外交官』は、潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長の人生と遺産を描いた作品。同作品は昨年のベルリン国際映画祭でワールドプレミア上映された後、世界各地で上映されている。
潘事務総長は、この映画が国連という組織と、そこで働く人々の「献身と犠牲」に対する人々の理解を深める一助となることに期待を表明した。
映画は来月、韓国で公開される予定だ。
2025年6月19日、ソウルで行われた映画『静かなる外交官』の記者会見に臨む潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長。