
ウ・ジェヨン
釜山17日=和田等】パク・チャヌク監督の新作『他に選択の余地はない』の原作は1990年代の米国を舞台にしているが、その根底に流れるメッセージは、パク・チャヌク監督個人はもちろん、現代人の心にも深く響くだろう。
第30回釜山国際映画祭の会場である釜山シネマセンターで開催されたアジアプレミアの記者会見で、韓国の映画監督は、雇用の不安定さに関するこのダークな風刺映画の重要なメッセージが、これまで以上に適切であることを強調した。
「雇用の安定に関しては、米国と韓国に根本的な違いはありません。"感情やメッセージが枯れる前に、すぐに映画化する必要がある題材もありますが、この小説は、時間が経っても、人々が自分自身、あるいは隣人として受け入れることができるような物語を描いています"
パク監督のダーク・コメディは、アメリカの作家ドナルド・E・ウェストレイクが1997年に発表したミステリー小説「The Ax」を映画化したもの。製紙会社を突然解雇された後、再就職のためにライバルを排除するために極端な暴力的手段を取る中年男マンス(イ・ビョンホン)が主人公。
朴監督がアジア最大の映画祭で初めてオープニングを飾るこの作品は、人工知能の進歩が職場にもたらす不安についても掘り下げている。
「テクノロジーの発展は根本的な変化を約束するものだが、我々の業界を根底から揺るがすまでには至っていない。しかし、その発展のスピードは測りがたく、私たちを混沌とした状態に置いています」と彼は語り、製作の最終段階まで「こうしたアイデアを物語に織り込もう」と努めたと付け加えた。
アメリカの小説を韓国向けに脚色するにあたり、監督は、マンスの家に対する執着や、家父長制の名残から生じる限界や愚かさなど、特定の文化的要素に焦点を当てたと語った。
「韓国の観客は、誰よりも理解し、共感し、舌を鳴らして不服に思うことでしょう」と彼は語った。
パク・チャヌク監督と出演者たち】(img6.yna.co.kr/photo/yn...5091715430001300_P4.jpg)
監督はまた、主人公の苦境と、観客の減少や投資不足が映画製作の減少という悪循環を生み出している現在の地元映画業界の苦境とを並列に描いた。
映画監督であるパク監督は、職を失ったマンスの苛立ちに共感できたという。
「紙を作るという仕事は、ある人にとってはそれほど重要ではないかもしれないが、マンソにとっては人生そのものだ。映画人として、私も同じ気持ちです。「映画は人生の大きな助けになるものではないかもしれないが、私は人生を捧げている。
「映画産業はパンデミックの余波の中で苦闘しており、回復も遅れている。「しかし、この状況は永遠には続かないと信じています。この映画が、この沼地から抜け出すための小さな一翼を担えることを願っています」。
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